過去問PDFを音読教材にする方法
自分で用意した過去問のPDFから英文だけを取り出せば、解き終わった長文を音読教材として使い直せます。スキャンしたPDFの文字の読み取り(OCR)、使うページの選び方、設問や語注の除き方、読み取りミスの直し方を順番に説明します。最初に、著作権について大事な注意があります。
最初に:著作権について
入試問題の英文には、ほとんどの場合、元になった本や記事の著者の著作権があります。問題集や過去問集そのものにも、出版社などの権利があります。そのため、この記事で説明する方法は、自分が持っている問題集や、自分で入手したPDFを、自分の学習のために使う範囲にとどめてください。
- 取り出した英文や、自分で作った訳を、ウェブサイト・SNS・ブログなどで公開しない
- 作った教材を友人やグループに配布したり、共有フォルダに置いたりしない
- 他人がアップロードした、出どころのはっきりしない過去問PDFを使わない
このサイトでも、入試問題の本文や訳は一切掲載していません。記事の英文の例はすべて自作です。なお、Readflow のアプリはPDFの読み込みと文字の読み取りをブラウザの中で行い、PDFを外部のOCRサービスに送らない作りにしています。とはいえ、使い方が自分の学習の範囲を超えないようにするのは、使う人自身の責任です。判断に迷うときは、学校の先生などに相談してください。
PDFには2種類ある
文字データのあるPDF
パソコンで作られたPDFには、見た目の画像とは別に文字のデータが入っています。文字を選択してコピーできるなら、このタイプです。英文をそのまま取り出せるので、読み取りミスはほとんど起きません。ただし、行末で単語が改行されていたり、ページ番号やヘッダーが本文に混ざったりすることはあります。
スキャンPDF(画像だけのPDF)
紙の問題集をスキャナーやスマートフォンで取り込んだPDFは、中身がページの画像です。文字を取り出すには、画像から文字を認識するOCR(光学文字認識)が必要です。スキャンアプリによっては文字データを付けてくれますが、語の区切りや文字の順番が崩れていることが多いため、Readflow では標準で端末の中でOCRし直すようにしています。
アプリにPDFを開くと、文字データのあるページと画像だけのページを自動で見分けます。画像だけのページはOCRで読み取ります。
OCRをうまく使うコツ
OCRの精度は、元の画像の質に大きく左右されます。スキャンする段階で次の点に気をつけると、あとの修正がずっと楽になります。
- まっすぐ取り込む:ページが傾いていたり、本のノドの部分が湾曲していたりすると、行の読み取りが崩れやすくなります。
- 解像度を確保する:アプリでは画像ページを300dpiで画像化してOCRします(設定で200/400dpiも選べます)。小さな文字が多いページは400dpiにすると改善することがあります。
- 書き込みの少ないページを使う:本文に引いた下線やメモ、蛍光ペンは、誤認識の原因になります。可能なら書き込む前にスキャンしておくと安心です。
- 影や照明のむらを避ける:スマートフォンで撮る場合は、明るい場所で、影が入らないように撮ります。
アプリでは、ページごとに読み取りの品質(平均の信頼度と、信頼度の低い語の割合)を表示します。品質が低いページは、スキャンし直したほうが結果的に早いこともあります。なお、2段組のページや、表・図の中の文字はうまく扱えないので、そうしたページは手で入力するほうが確実です。
ページの選び方
過去問のPDFには、表紙、注意事項、他の大問、解答用紙なども含まれています。全ページを読み取ると時間がかかるうえ、余計な文字の除去も大変になるので、音読に使う長文のページだけを選びます。
アプリではサムネイルをクリックして選ぶか、「4-6, 8-10」のようにページの範囲を入力します。選んだページ数とOCRにかかる時間の目安が表示されるので、最初は1つの大問(2〜4ページ程度)から始めるのがおすすめです。
長文が複数ページにわたっていて、途中のページに別の問題が入っている場合(たとえば6ページと8ページが本文で、7ページは別の大問)は、その間のページを外して選びます。連続しないページの英文は、別の段落として扱われます。
設問・語注・番号を除く
音読教材として使うのは本文の英文だけです。次のものは取り除きます。
- 日本語の設問文や指示文
- 本文の下や横にある語注(「*注」など)
- ページ番号、ヘッダー、大問番号
- 本文中の下線番号((1)、(Ⅰ)、[A] など)や段落番号
アプリでは、原本のプレビューの上に、本文として使う行を緑、外す行を赤で重ねて表示します。日本語の設問・語注・ページ番号などは自動で外す候補になりますが、英語だけで書かれた語注や設問は本文として残ることがあるので、必ず原本と見比べてください。行のチェックを付け外ししたり、原本上をドラッグして範囲の行をまとめて外したりして調整します。
空所補充の問題がある場合
本文に空所( )がある問題では、空所のままだと音読できません。解答を確認したうえで、空所を答えの語に書き換えると、普通の英文として読めます。アプリでは設問の空所や下線番号を一覧で示します。空所の記号がア・イのようなカタカナの場合は英語のOCRで正しく読めないので、記号に置き換えて示した箇所を書き換えるか削除してください。
読み取りミスの直し方
OCRはかなり正確ですが、完全ではありません。入試の英文でよく見かける誤認識には、次のようなものがあります。
| よくある誤り | 例 | 直し方 |
|---|---|---|
| アポストロフィの欠落 | shouldnt, its(it's の意味) | 文脈を見て ' を補う |
| ハイフンの欠落 | GPStracking, wellknown | 原本を見てハイフンや空白を戻す |
| 形の似た文字の取り違え | rn と m、l と I と 1、O と 0 | 単語として成り立たない語を探す |
| 行末で分割された語 | environ- mental | 1語に戻す |
| 下線番号の残り | (3) the idea that | 番号を削除する |
アプリでは、信頼度の低い語を黄色で示し、クリックすると原本のどこにあたるかを表示します。黄色の語を上から順に確認していくのが効率的です。ただし、信頼度が高くても間違っている語はあるので、最後に一度、原本と見比べながら黙読することをおすすめします。
たとえば、OCRの結果が次のようになっていたとします(自作の例です)。
Tbe students didnt notice that the rnain entrance was closed.
「Tbe」「didnt」「rnain」の3か所を直すと、次のようになります。直したら、音読用に区切りも付けてみます。
The students didn't notice / that the main entrance was closed.生徒たちは気づかなかった/正面入口が閉まっていることに
もう一つ、ページの境目で文が途切れるケースにも注意が必要です。アプリではページの境目で続いている文を1文に戻しますが、念のため確認してください。
Even a short walk after lunch / can help you feel less sleepy / in the afternoon.昼食後の短い散歩でさえ/眠気を感じにくくする助けになりうる/午後に
この文が「can help you feel」でページが変わっていた場合、2つの文に分かれていないか、間にページ番号が挟まっていないかを見ます。
仕上げのチェックリスト
音読を始める前に、次の点を確認しておくと、練習の途中で手が止まりにくくなります。
- 本文の最初と最後の文が、原本と一致している
- 設問文・語注・ページ番号・下線番号が残っていない
- 空所は答えの語で埋めてある
- 黄色(低信頼)の語をすべて確認した
- 段落の区切りが原本と同じになっている
ここまでできたら、区切りの提案を作って音読練習に進みます。作った英文はこのブラウザの中に保存されます。繰り返しになりますが、公開や配布はしないでください。
まとめ
- 使うのは、自分で用意したPDFを自分の学習に使う範囲だけ。英文や訳を公開・配布しない。
- 文字データのあるPDFはそのまま、スキャンPDFはOCRで読み取る。スキャンの質が結果を左右する。
- 読み取るのは本文のページだけ。設問・語注・番号は除き、空所は答えの語で埋める。
- アポストロフィ・ハイフン・形の似た文字の誤認識を、原本と見比べて直す。
PDFの読み込みから区切りの付与まではアプリで行えます。教材ができたら、「入試長文を使った音読練習の手順」に沿って練習してみてください。区切りの付け方は「スラッシュリーディングとは」で説明しています。